ALOS-3
製品情報
衛星データ市場の動向
宇宙産業は、宇宙へのアクセスとしてのロケット打ち上げサービス、衛星製造、宇宙旅行など様々な分野にセグメントが分かれますが、この中でも衛星データの市場について解説していきたいと思います。
衛星データの市場規模は€40億
PwCが発表したCopernicus Market Reportによれば、世界の衛星データ市場は、「通常データ販売と付加価値サービス(VAS)」、「情報製品とビックデータ解析」の2つのセグメントに分けられます。近年、衛星データ市場に占めるビッグデータ解析のシェアは拡大傾向にあり、今後の拡大が予想されています。2017年の衛星データ市場規模は、約€28億であり、この内訳は、データ販売とVASが€15億、情報製品とビックデータ解析が€13億と示しています。さらに、ビックデータなどの影響により2022年までに€40億に成長する見込みです。
衛星データの市場を、分解能が1メートル以下の高解像度光学データに関する産業別シェアでみると、安全保障、公共事業、エネルギー及び資源分野の順位となり、この3分野で8割を占めています。同レポートでは、今後の農業・産業サービス分野の拡大も予想しています。
宇宙産業ビジョン2030
一方、日本では、内閣府が、「宇宙産業ビジョン2030」の中で、民間の役割拡大を通じ、宇宙利用産業も含めた宇宙産業全体の市場規模を拡大するとしています。その対応策の一つとして、「衛星データへのアクセス改善」を挙げています。衛星データの利用推進に向けた環境整備として、利用ニーズ等を把握し、各衛星のプロジェクトに継続的に反映する仕組みの具体化を図っていくとしています。その前提として、利用ニーズを有する関係省庁や利用ニーズを有する産業界に関わりのある関係府省庁の積極的な参画が必要であると述べられています。
官民連携による衛星データの利用促進
パスコは、JAXAと事業契約を結び、ALOS-3について、地上システム開発、衛星運用およびデータ販売を含めた事業を実施しています。ALOS-3は、光学衛星ALOSの後継機であり、継続性のある衛星データ整備の事業のひとつと言えます。
パスコは、「"人工知能(AI)"技術による"衛星データ"と"空間情報"を活用したビジネスモデル」の構築を目指しており、その取り組みとの一つとして、ALOS-3 データならびにその他の衛星データや空間情報を組み合わせたサービスの提供に向けた提案活動を進めています。
ALOS-3とは
ALOS-3は、ALOS(2006~2011年)の光学ミッションを引き継ぐ地球観測衛星です。大型化・高性能化したセンサを搭載し、広い観測幅(直下 70km)で高い地上分解能(直下 0.8m)を実現します。このセンサを用いて国内はもちろん、全地球規模の陸域を継続的に観測し、蓄積した平時の画像や災害発生時の観測画像を、防災・減災、災害対策や各種モニタリングなどに活用します。さらにALOS-3の観測画像は、国内や途上国の高精度な地理空間情報の整備・更新に貢献するほか、多様な観測バンドにより沿岸域や植生域の環境保全への活用・研究など、さまざまな分野において活用が期待されています。
出典:
Copernicus Market Report https://www.copernicus.eu/en/news/news/observer-market-report-2019
宇宙産業ビジョン2030 https://www8.cao.go.jp/space/vision/vision.html