PRISM

PRISMは、地表を2.5mの分解能で観測することができる可視域を観測するための光学センサです。データは高精度の数値標高モデル(DEM)作成に利用されます。
標高を含む地形データを取得するために3組の光学系を持ち、衛星の進行方向に対して前方視、直下視、後方視の3方向の画像を同時に取得します。
それぞれの光学系は軸外し3枚鏡のプッシュブルーム走査方式で構成されており、直下視では70km、前方視と後方視は35kmのそれぞれ観測幅を持ちます。前方視と後方視の放射計は地心方向に対して±約24°、衛星進行方向に対して傾けて取り付けられます。これにより高精度の地形データを高頻度に取得することが可能となります。

PRISM主要諸元

バンド数 1(パンクロマチック)
観測波長帯 0.52~0.77μm
光学系 3式(直下視,前方視,後方視)
ステレオ視B/H比 1.0(前方視後方視間)
地上分解能 2.5m(直下視)
観測幅 70km(直下視のみ)/
35km(3方向視モード)
信号対雑音比 >70
空間周波数
伝達特性
>0.2
ディテクター数 28000/band(観測幅 70km)
14000/band(観測幅 35km)
ポインティング角 ±1.5°(3方向視モード,
クロストラック方向)
量子化ビット数 8ビット

観測モード

モード1 前方視,直下視,後方視による3方向視(観測幅35km)
モード2 直下視(70km)+後方視(35km)
モード3 直下視(70km)
モード4 直下視(35km)+前方視(35km)
モード5 直下視(35km)+後方視(35km)
モード6 前方視(35km)+後方視(35km)
モード7 直下視(35km)
モード8 前方視(35km)
モード9 後方視(35km)

PRISMプロダクトの処理レベルの定義

PRISMは、観測データにラジオメトリック補正及び幾何補正を施し、レベル1A、レベル1B1、レベル1B2のプロダクトを作成して提供します。

レベル 定義
1A 観測データから切り出され、伸張・ライン生成されたPRISM生データ。レベル1B以降の処理に必要なラジオメトリック情報、幾何学的情報が付加される。
1B1 レベル1Aデータにラジオメトリック補正を施し、絶対校正係数を付加する。レベル1B2以降の処理に必要な幾何学的情報等が付加される。
1B2 レベル1B1データに幾何学的補正を施す。以下の補正オプションが使用可能。
R:Geo-referenceデータ
G:地図への重ね合わせを行う。Geo-codedデータ

PRISMによって観測された画像

  • ALOS搭載のパンクロマチック立体視センサ(PRISM)によって、2006年8月20日に観測された富士山の画像です。
    PRISMは、可視域を観測波長帯とする光学センサで、地上分解能は2.5mです。
    衛星の進行方向に対して前方、直下、後方の3方向の画像を同時に取得することにより、高精度の地形データを高頻度に取得することが可能となります。

  • PRISMの後方視、直下視、前方視の各画像を用いて高さ情報を抽出し、その上にPRISM直下視画像を重ね合わせて鳥瞰図にしたものです(観測日:2006年2月14日昼間)。
    手前は甲府盆地で詳細な町並みや道路、河川の様子が見えるとともに、中央右よりには本栖湖、その奥には冠雪した富士山と山頂へと続く富士スバルラインの様子を見ることができます。
    なお、この鳥瞰図は高さ方向を2倍に強調して表しています。